真夜中のパレード


「さぁ……どうだったかなぁ」

「へぇ。来たことがあるんですね」



透子はからかうように笑いながらも、
自分が少し嫉妬のような物を感じているのに気付き、驚いた。



その考えを振り払うように、彼を見上げて問いかける。



「上条さんは、どんな人と付き合ってたんですか?
聞かせてください」


そう言うと、上条は困ったように眉を寄せた。



「天音さん、意外と意地が悪いですよね」


「そんなことないです。純粋に気になったんです」


「そんなの聞きたいですか?」


「はいっ!」


透子に笑顔を向けられると、上条はぼそぼそと答えだした。



「何となく付き合って、何となく別れた恋愛ばっかりでした」


「なんとなく……ですか?」


「えぇ。きっと向こうもそうだったんでしょう」



上条は透子の方に顔を向ける。



薄暗い水槽の前で彼の笑顔がぼんやり浮かび上がり、どきりとした。



「最近、時間があると
天音さんのことばかりを思い出します」



その言葉に胸が弾む。


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