甘い言葉で
8 早朝の散歩


肝試しが終わって、バンガローに戻ったあとは3人でお喋りタイム。
だったけれど、結局は疲れて寝ちゃった。


あたしは、肝試し中にユズくんが肩に手を置いていたのが気になっちゃって......
『なかなか寝付けなかった』
なんて言わないけれど、朝早く目が覚めちゃった。


サチと美幸はまだ夢の中。
気持ち良さそうな顔して寝てる。
可愛いねぇ。


『ギィー.........』


出来るだけ音をたてないようにドアを開けて外に出る。
夜明け前の薄明かるい靄(モヤ)のかかった空。
ひんやりした空気が気持ちよい。


昨日の昼間遊んでいた川原まで下る。
水の流れる音が、すぐ傍に川があるように聞こえて、あたしの足取りも早くなる。


「う~ん。大自然独り占めしてるみたい。幸せ~」


大きく伸びをしたとき少しは離れたところから小枝が折れる音が聞こえる。
『誰か来た?』と思ってすぐ音のした方を振り向くと


「あゆみちゃんも早起きなんだね」


思いもよらぬ人、笑顔のユズくんが立っていた。



< 61 / 101 >

この作品をシェア

pagetop