ド天然!? 魔女っ子の秘密【2】
「えっ、ちょっと!」

いわゆるお姫様だっこ。それに気づいて抜け出そうとするけれど、「動くな」と睨みつけられる。

「お、降ろしてよ!」


「降ろしたところでまともに立つこともできねぇんだろうが」


「いいから大人しくしてろ」と言って歩き出す。


なんで、そういうことすぐに分かるの?

あたし、ひとことも言っていないのに。


「ったく、無茶しやがって」


ぶっきらぼうな言葉にはトゲがあるけれど、手から伝わる温度は優しい。

きっとあたしを気遣って、危険な瞬間移動の魔法も使わずに歩いてくれているのだろう。


ああ、好きだなって思う。こういうところが、すごく好き。

本当は誰より優しいところ。あたしのピンチに助けてくれるところ。あたしを大切にしてくれるところ。

好きでいてくれるんだなって、分かるから。


「翔太…」


翔太の胸に頭をよせて呟いた。


「ありがとう」


すると翔太は「無茶すんじゃねえよ」と言った。


「お前が無茶して傷ついたら、ソルテリッジのころを思い出す。またいつまでも目を醒まさないんじゃねえかって、心臓に悪いんだよ」


翔太が言っているのは、ソルテリッジ魔法学園でのことだ。

あの大きな事件を解決した代償として、魔力と記憶を失って1年間近く眠り続けたこと。

あたしは眠っていたから詳しいことは分からないけど、きっとすごく心配かけていたんだな。

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