イケメン同期に素顔を見抜かれました
October


「すみませんでした……」

深々と頭を下げる私に、児玉さんが優しく微笑む。

「人間誰にだって失敗はつきものよ。新人の間はそうやって成長していくものだから」

「でも、児玉さんにも迷惑かけて。チーム長もたくさん謝ってもらっちゃって」

「謝るのは上司の僕の仕事だから。気にしない、気にしない」

「そうよ、私だって散々上司に迷惑かけてここまできたんだから。チーム長もそうですよね?」

「もちろん。僕だって最初からこの立場にいるわけじゃないんだから」

優しいふたりのフォローに泣きそうになる気持ちを抑え、再度深々と頭を下げた。




有村の彼女と思われる女の子、マリちゃんの浮気現場らしきものに遭遇してから、それが気になって仕方なくて。

自分では感じてなかったけど、仕事に身が入っていなかったのかも知れない。

私は頼まれていたデータの資料作りの締め切りを忘れてしまうという失敗を犯してしまった。

チーム長のフォローのおかげで締め切りを延ばしてもらえることができ、本来ならばあまり残業の出来ない児玉さんにも時間外対応で手伝ってもらい、何とか資料作りを終えることができたのだ。




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