リナリアの王女
第一章:覚めない夢、それは現実
 その日の夢にはあの男性は出てこなかった。
見回す限り白い空間が広がる場所の中心に綺麗な水晶が浮かんでいた。
引き寄せられるようにその水晶に近づいて行くと、徐々に水晶が淡く光り出していく。
自分の中の何か大切な部分が疼いていく。
いつも見る夢の中の男性の視線に胸が締め付けられるのと同じように切なさが込み上げてくる。


この水晶を手に取れば、あの夢について分かる。


直感的にそう感じ、私は水晶を手に取った。
すると水晶から発せられる光が辺りを光で満たしていく。










『ずっと待っていた。やっとこの時が来た。俺の大切な――――――』









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