さぁ、オレと恋をしてみようか
*わたしの小さな悩みが大変なことになりました
あれから一ヶ月が経った。千織さんとのデートは順調で、週に一度はどこかに出掛けた。


二回目のデートは、映画館へ行った。男性と初めての映画館。


今は〝カップルシート〟というのがあるらしく、その名前だけあって、かなりの密着度で、わたしの心臓は終始ドキドキしっぱなしだった。


観た映画は、青春恋愛映画。


ずっと好きだったのに言えないまま時が過ぎ、数年後再会するも、彼の雰囲気が変わってしまっていて、それでもそんな彼にまた少しずつ惹かれていく。


恋のライバルが現れたり、ヒロインの子に好意を持つ人もいたけど、最後はその彼と結ばれる胸キュンいっぱいの、お話だった。


涙するシーンはなかったけど、グッとくるシーンは何度かあって、そのたびに自分の膝の上で、ギュ、とコブシをつくると、それに気付いた千織さんがわたしの手を優しく握ってくれた。


お昼は、ハンバーガーを。どうしてもお金を出したいと言い張ったわたしに、千織さんが選んだのはワンコインで食べれるハンバーガー。


わたしも働いてるのに……と思ったけど、やっぱり千織さんは自分が出したいらしい。


映画館のお金も最後まで受け取ってはもらえず「好きな子の前でオレはカッコつけたいの」なんて、耳元で言われたら頷くしかできなくて。


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