カフェには黒豹と王子様がいます
番外編 徳永 優③
番外編 徳永 優③


 僕のいない間に、あの豊川がバイトに入ることになっていた。

 そうだ。あの高校生事件の時、高校生たちの顔をマスターは見ていない。

 店を引っ掻き回しているのは明白だった。

 何かといえば西口にちょっかい出しているらしい。

 もう一つ心配なのが、豊川が西口にちょっかいを出すことで、小野田の気持ちに火が付かないかという事だ。

 小野田は自覚があるのかないのかわからないが、どう見ても西口が好きだ。

 西口も多分小野田が好きだ。

 きっと僕がいなかったら二人はもっと早く付き合っていたんじゃないかと思う。

 でも、僕の思いは止められない。

 悪いけど、小野田にも渡せない。

 西口はかなり揺らいでいる。

 僕はどうしても西口を振り向かせたかった。

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