カフェには黒豹と王子様がいます
番外編 小野田 恭一④
番外編 小野田 恭一④


 俺は毎日病院に行った。

 徳永や豊川、元子さんともなるべく会わない夕方の時間帯に、こっそり行った。

 その日は、病室に行くと西口がぐっすり眠っていた。

 いつもは中には入らず帰るのだが、そっと中に入ってみた。

 西口は起きなかった。

 俺はベッドの横にしゃがんだ。

 じっと西口を見ていた。

 そっと手を伸ばしたら、入口の扉が『コン』と音を立てた。

 ハッと入口を見ると、入口に腕組みをしてもたれかかっている徳永の背中が見えた。

 俺はあわてて病室を出た。

 徳永の顔も見ず、早足で病院を出た。

 ……徳永は追っては来なかった。

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