汝は人狼なりや?(※修正中。順を追って公開していきます)
 だって、狼谷くんが「自分は人狼だ」と言っていることが他でもない、真実だというのなら。

 ただでさえゲスで、横暴で、どうしようもない彼が、さらに凶悪だとされている人狼なのだとしたら──。


「あまっちょろいなァ、上杉。そんなんじゃ、あっという間にこの人狼(オレ)に殺されるぜ……?」

「……っ!」


 ──〝絶望〟しか、ないわけで。


 じりじりと上杉くんに近付いて行く狼谷くん。

 やっぱり、嘘なんかじゃなかった?いつものふざけた調子じゃない?ゲームのルール説明が示していた人狼って、狼谷くんのことだったの……?!

 さっきの鋭い眼光といい、今の狼谷くんの態度といい、おそらく、彼は本気なんだ。だとしたら、彼は本当に人狼なわけで……。このままじゃ上杉くんが……僕達が、危ないっ?!


「──大和くん!これを見て!」

「え?」


 少し離れたところから、僕のことを呼ぶ黒月くんの声。けれど、僕以外のみんなの意識も持っていくのには充分で。釣られるようにして、周りのみんな……狼谷くんでさえも、黒月くんの方を向いた。

 少しでも狼谷くんの意識を逸らして、何かしらしようとしていた行動を阻止することが出来るのなら、黒月くんの呼び掛けはグッドタイミングだ。

 僕も黒月くんの方を見ると、彼の隣には夜桜さんもいて、その2人の傍には……とても大きな白い布に覆われた〝何か〟が、床の上に置かれていた。

 大きさを見て察するに、何か机のようなものの上に何かが置かれているっぽい?端から端まで様々な形が布にそって浮かび上がっているため、色々な物が置かれているように思う。……〝それ〟がなんなのかは、分からないけれど。
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