汝は人狼なりや?(※修正中。順を追って公開していきます)
 あれから……1度も狼谷くんが目を覚ましていないことが、今のところの唯一の救いだろうか。目を覚ましたら、いくらロープでその行動を縛っているとはいえ、僕たちの安否が絶対的に保障されているわけではないから。

 壱壁くんはそんな狼谷くんの隣でしゃがみこみ、誰にも目を合わせないよう、俯いて自分の両膝に自らの顔を埋めている。さっきまでの出来事があっても尚、狼谷くんのそばを離れようとはしないみたい。──いや、〝離れられない〟のかな?

 だって、彼は、学校にいる時の様子を見ていても、狼谷くん以外の人といることは無いから。


「あー!喉が渇いたなー!」


 緊迫した空気に耐えられなくなったのか、静寂を打ち消すかのように、床に大の字で倒れ込んでいる馬鹿くんがそう叫んだ。

 喉……か。そうだよね。空腹はいくらか我慢出来るけれど、喉の渇きは……空腹ほど我慢出来るわけじゃない。犯人は食べ物はおろか、やっぱり飲み物さえも与えてはくれないのだろうか……?

 この部屋に時計などの時間が分かるものは無いから、今が何時なのかは分からないけれど……限界はいずれ、くる。

 食べ物や飲み物が欲しければ、早くこのゲームに終止符を打って生き残れ、ということなんだろうか……。

 こんなにも惨たらしいゲームを思い付き、実行しようと思い立った犯人の顔を一度でいいから見てみたいよ。

 まずいち、狼谷くんを除いてこのクラスメートの中に人狼がいるなんて……やっぱり信じられないし。

 犯人は人間同士の争いが見たいの?それとも、本当に人狼がいるのだとして、人間と人狼を殺し合わせる理由は、何?

 分からないことだらけで、これから一体どうしたらいいのか……。
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