汝は人狼なりや?(※修正中。順を追って公開していきます)

* ▷ 本能と衝動と

 はたして、僕たちが目を覚ましてから、どれくらいの時間が経っただろうか。


「やっぱりダメだ、出られそうにない」


 諦めるようにそう吐き捨て、壁に背を預けてズルズルとしゃがみこんでいく火神くん。

 狼谷くんを気絶させて気持ちに余裕が出てきたのか、扉や壁、床や天井を順番に調べていくクラスメートたちだったけれど、誰がどこをいくら調べようとも、出られるかどうかはおろか、まともな手掛かりさえ見付かりそうにはなかった。

 やっぱりどこもかしこも鉄製で、頑丈に出来ている。拳ひとつで壊したり小さな穴さえ開けるだなんてことが、出来ないということを物語っている。人狼と戦う用に置かれた武器たちを駆使しても……到底道が切り開けるようには思えなかったし。

 やがて体力は尽き、疲れ果て、床に座り込む僕たちは、これからどうしたものか……と放心状態にあった。

 これから何が起こるのか分からない今、無理をしすぎて、いざという時に動けなくなるのは避けたいところだけれど……。

 少しでも気付けたことといえば、辺りが静かすぎることくらいかな。この場所が防音性に優れているのか、最初から周りには人がいないのか……。いないとするならば、ここはどこだろう?人ひとりいない山奥だったりするのかな?

 ──もしも、そうならば……助けが来る確率は、格段に下がってしまう……?

 ……一部(西園寺さん)は、それなのにも関わらずゲームを楽しんでいる様子らしく、目を爛々と……ギラギラとさせ、余裕がある様子で水無さんと隅っこの方にいるけれど。
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