猫系男子の甘い誘惑
黒、以外を選ぶ
 次の週末、佑真に誘われる前に倫子の方から呼び出した。結婚式の当日に着るドレスを選ぶためだ。

 一人で行ってもよかったのだが、あとから佑真が騒ぐであろうことを考えたら、誘った方が後腐れがなくていいだろうという結論に至ったのだ。

 倫子がその日向かったのは、レンタルショップだった。クリーニングは店の方で対応してくれるから、使い終わったら店に返すだけ。敦樹の結婚式で着たドレスなんて、二度と着る気になれないだろう。

 それに使った当日返しに来ればいくらか割引になるし、自分で買うよりはるかに高級な品を身につけることができる。

 どうせ午後には終わる式だし、二次会まで顔を出すつもりもないから、レンタルで十分だという判断だった。

「こんな店があるなんて知らなかった。てっきり、皆買ってるんだとばかり」
「佑真でも知らないことはあるんだ」
「そりゃあるでしょ。というか、知らないことの方が多いでしょ」

 店に入るなり、佑真はもの珍しそうに店内を見回していた。待ち合わせ場所からここに来るまでの間に借りると説明したものの、彼が思っていたのとは少し違ったようだ。
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