幸せの定義──君と僕の宝物──
来るべき時が来た!
`ALISON´が東京を離れて3日目の朝。

レナは、下腹部にいつもと違う違和感を感じていた。

なんとなく昨日よりお腹に強い張りを感じ、赤ちゃんがいつもより下の方にいる気がする。

そして、やはりなんとなくではあるが、子宮口が内側から押されているような痛みを感じた。

(まさか…予定日より1週間も早いのに…。)

ハルを心配させまいと、レナはいつも通りに笑いながら、できるだけゆっくりと動いた。

(今日の夜にはパパ帰ってくるからね。それまではママのお腹の中でおとなしくしててね。)

レナは時折お腹を撫でながら、心の中で赤ちゃんに話し掛けた。


「レナさん、洗濯物干し終わりましたよ。」

「ありがとう。じゃあ、お茶でも淹れてゆっくりしようか。」

レナは二人分のアイスミルクティーをグラスに注ぎ、テーブルに置いた。

「昨日の唐揚げ、美味しかったね。」

「レナさんの教え方が上手だから。昨日とーちゃんに写真送ったら、ハルの作った唐揚げ食べたいって。とーちゃん、唐揚げ好きだから喜んでくれるかな。」

「リュウさんはきっと、ハルちゃんの作った料理ならなんでも喜ぶと思うよ。」

アイスミルクティーを飲みながら話している間も、レナはなんともない顔をしていたが、やはりお腹の張りが気になった。

(まだお昼前…。ユウたちのライブはお昼からだろうし…。どんなに早くても、帰ってくるのは夜になる…。どうしよう…。)

その痛みは不規則ではあるが、やはりいつもの張り方とは違う。

(やっぱり今日かも…。ギリギリになってからじゃ、歩いて病院には行けないな…。)


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