特ダネには真実を
先輩、号外です
碣屠實墜玄の事件から数週間後。


報道も落ち着き、陽明日新聞社も忙しい日常を取り戻していた。



「戻りましたー!」


「あ、お帰り。」



取材から帰った潮を迎えたのは、啄梔だけだった。



「囃噺さんは、取材ですか?」


「ええ。幄倍と一緒にね。何か用事?」


「スーパーの割引券貰ったんで。あ、デスクにもありますよー」


「ありがと、助かるわ。」



今日行った取材先の一つ、地域密着型のスーパーで手渡されたもの。


一人で使うには多すぎるぐらい貰ったので、お裾分けだ。



「デスク、今日分終わったんで、あがりまーす。」


「分かったわ。お疲れ。」



社会部を出た潮は、帰る前に届いたメールを再確認しある場所に向かった。


そしたら見知った顔を見付けたので、潮は声をかける。



「スピード解決でしたね。お手柄じゃないですかー」


「南能!」



潮が着いた先は、警察の記者会見会場。


会見を後ろから見ていた薇晋に話しかけた。



「馬鹿にするな。」


「馬鹿になんかしてませんよ。褒めただけじゃないですかー」



そうは言っても、潮の顔は楽しそうだ。
< 56 / 60 >

この作品をシェア

pagetop