嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜


その剣幕に驚いてしまう。
本当に物凄く心配をかけてしまったんだと今更ながら思う。


思わず関西弁で怒鳴ってしまうくらいーーーー。


「すいませんでした・・・・・」


申し訳ないと思う一方で、怒ってしまうほど心配してくれるのが嬉しいなんて感じるのはいけないことだろうか。

池上くんが俯くわたしの頭をくしゃくしゃとなで回す。

「怒鳴って悪かった。けどホンマ、マジで勘弁して」

「はい・・・・・」

ウチに着くと池上くんがタクシーの精算をしてくれた。

「ちゃんと寝ろよ。しんどくなったら携帯鳴らせ。オレ、始発の時間まで駅前のカフェにいるから」

さっき駅前を通るときに24時間営業のカフェをその視界に入れたのだろうか?

気がついたら踵を返して立ち去ろうとした池上くんのコートを掴んでいた。

「時間潰しだけならウチにいてください。わたしのせいやし」

「いや、だって一人暮らし・・・・・」

「大丈夫、襲ったりしません」



一瞬の間の後、池上くんが深夜の近所に気を遣うように静かに大爆笑した。
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