恋色シンフォニー
3

4月。
春爛漫。

三神くんにもらった市民オーケストラ定期演奏会当日。

開場時間に行ったら、すでにホールの入り口から、ずらっと行列が伸びている。
身内・関係者だけじゃない。
このアマオケは、こんなに人気があるのか。びっくり。

入り口でプログラムやチラシをもらい、客席に入る。

ステージには、椅子がずらり。
それを見るだけで、胸がきゅんとなる。

座席は全席自由だから、とりあえず前後左右、ちょうど真ん中あたりの席に座る。
一番響きがいいと言われるから。


開演まで時間があるので、プログラムをめくる。

……っ、ちょっと待った。

出演者名簿のページを見て、固まった。

楽器別にズラリと並んだ名前。
その上の方で、見たことのある名前が目に飛び込んできたからだ。

《コンサートマスター 三神圭太郎》

って、あの三神くん?

いやいや。
コンマスって。
アマオケとはいえ、コンマスって。

三神くん、自分がオケ側の人間だなんて、言ってなかったよね⁉︎

『自分は行けないから』

って、そりゃそうでしょうよ! 演奏する側なんだもん!

やられた‼︎
あんの、腹黒メガネめ‼︎
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