知らない貴方と、蜜月旅行
*泣くつもりなんて、なかったのに…
「名前は別にいいんだが、なんであんなとこで寝てたかくらいは聞いてもいいか?まぁ、飲み過ぎて家に帰る前に力尽きたんだろうが」


ククッと笑いを噛み殺しながら聞いてきた蒼井という男に、若干ムッとしたけど、大人の対応で返すことにした。


「……そうです。少し……かなり飲み過ぎました。どこで眠ってしまったのかは、わかりませんが気付いたらベッドの上でした…」


そう答えると、蒼井という男は興味がなさそうにフンと、ただ鼻をならしただけだった。反対に陽悟という男は、体をガバッと起こすと笑顔で私を見てきた。


「ねぇ?一人で飲んでたの?」
「そう、ですね」
「クリスマスなのに?」
「……ダメですか?クリスマスに一人で飲んでたら」


クリスマスという言葉に、胸に込み上げるものがあったけど、頑張って感情を押し込めると平然なふりをして陽悟という男を見た。


「ううん、ダメじゃないけどさぁ。佐野ちゃん、可愛いのに、なんでかなぁ?と思ってさ!」
「別に可愛くなんかないです。あなたたちだって、クリスマスなのに二人きりだったんじゃないですか?」


だって、昨日も一緒にいて今も、ここに二人でいるってことは、そういうことでしょ?昨日から一緒にいたってことは、やっぱり〝そういう関係〟だったりして…。


「いたっ…!な、なんですか!?急に、ぶったりしないでくださいよ」
「あ?うっせ。お前が変な妄想してっからだろうが」
「なっ…!?」


なんでバレてんのっ!?心読めんの!?この男!!それとも、私が顔に出過ぎなのかな…。それにしたって、ぶたなくたっていいじゃんね!


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