知らない貴方と、蜜月旅行
*ついに、この日が来てしまった
「うーん……」


携帯のアラームが鳴っている。その音に少しだけ反応し、寝返りを打つ。でも、この音、私のアラーム音じゃない…。そう感じた私は、ゆっくりと目を開けた。


「……ん、ん?……わぁっ!!」
「チッ、んだよ、うっせぇな。朝から叫ぶなよ」
「なななな、なんで吏仁が隣にいるの!!」
「はぁ?なんでって、俺のベッドだし」


いや、そういうことを聞いてるんじゃなくて!どうして、一緒に寝てるんだ!……待って、なにもないよねっ!?とっさに、自分の体をザザッと触って確認してみたけど、多分大丈夫な気がした。


「アホ。寝てる女なんか襲うかよ」
「っ、わかんないじゃない!性欲が強かったら我慢なんて、できないでしょ!?」
「……」
「な、なんで黙るのよ」
「いや。女の口から、性欲って言うのがビックリしただけだ」
「〜〜っ!!」


朝から、なに言ってんだ私!!普段、性欲なんて言葉使わないのに!なんか、この感じだと私がいつも性欲とか言ってるみたいじゃん…。


「まぁ、いいや。バッチリ目覚めたし」
「私は、よくない!私、べつにいつもそんな言葉なんて使わないからねっ!?」
「そんな言葉って、どんな言葉?」
「なっ…。わかってるくせに!」
「いんや、わかんねぇな。ほら、言ってみ?」
「〜〜っ!うっさい!バカ!!」


枕をバサッと吏仁にぶつけるも、簡単に避けられてしまった。そして、そんな吏仁はクスクスと笑っていやがる。あ〜!腹立つ、朝から!


ズカズカと足音を立てて、洗面所へと向かった。私、怒ってますアピール!そんな私に付いてきた吏仁はアクビをしながら、上半身裸になった。


「ちょ、ちょっと!!」
「なに」
「なに、って!私、これから顔洗うの!」
「あそ。洗えば?」
「いや、洗えば?じゃなくて!出てってよ!」
「はぁ?意味わかんね」
「………」


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