陽のあたる場所へ

⑥ 行き場のない想い



連日、真冬の寒さが続いていたが、日曜日は、穏やかに晴れた日になった。
気温もいつもより高くなり、小春日和なんて言葉が浮かぶくらいだった。


むしろ寒くてどんよりした日の方が、気分が沈んでいられる。
こんなに良い天気になると
「しっかりしろ、自分!」
と気合いを入れなければならないような気にさせられるのが、たまらなく嫌だ。





光里には勿論、彼のことは内緒だ。

好きな人がいること、
その人とは、関係はあるが愛されてはいないこと、
…それは話してある。

でも、それが龍司だとは言えない。
口が裂けても絶対に言えない。

光里だって龍司の下で働いている一社員なのだ。
正義感の強い光里のことだ…
もし事実を話したなら、セクハラだとか、もっと言えば強姦だとか大袈裟な事を言って訴えるなどと言い出しかねない。


違う……
図らずも、自分から望んでこうなったのだから…。
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