Butterfly
6.穏やかな日々へ
気がつけば、春も終わりに近づいた、夏の気配を感じる5月。

太陽を浴びた新緑の木々が、大学内のあちこちをキラキラと明るく輝かせていた。



あれから2カ月。

私は、無事に四年生に進級することができた。

咲良も、一時はどうなることかと心配したけど、県警本部長の叔父さんの力もあって、ホストクラブに通っていたことはもちろん、そこで関わった出来事も、大学側には伝わらず全て丸く収まった。

けれど、詳細不明の長期の病欠。

妊娠説や大病説など、さまざまな憶測が大学内を飛び交った。けれど、「検査が長引いただけで悪いところは何もなかった」という説明を繰り返し、そのうち噂は消え去った。


(出席日数が足りなかった授業も、今までの素行が考慮されて、レポート提出でOKが出たみたいだし・・・)


咲良は幼稚園から通っているし、桜葉女子出身の身内も多いということで、学院との絆は深い。

もちろん、この待遇がいいことなのか悪いのか、私には簡単に判断できないことだけど。

それでもやっぱり、咲良と一緒に無事に進級できたのは、とても嬉しいことだった。







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