片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
ACT5♥青色の紫陽花

夏芽side~

クールな冬也が慌てる姿は何とも不思議だった。

社内に戻り、そのまま一緒に冬也の執務室に入った。

「主任、何を手伝えばいいんですか?」

仕事モードになり、言葉遣いも変えてキモチを切り替える。


「・・・忘れた。お前も忙しいだろうし、デスクに戻って自分の仕事をしろっ」


キモチを切り替えたと言うのに、冬也は私にデスクに戻って自分の仕事をしろと吐き捨てる。

冬也は、私を腕の中に抱き締めたかと思うと急に引き離し、顔すら見ようとせずに背中を向け挙動不審な態度を取った。


「冬也、やっぱり変」


「…いいから戻れよ」

冬也は向きになって命令口調で言い放つ。


「もしかして、冬也…嫉妬してる?」


嫉妬と思えば、冬也の態度のすべてがしっくりくる。


でも、一点だけ疑問が残る。何故、冬也が嫉妬しなきゃいけないのかと・・・


「俺が何でお前との柾貴との仲を嫉妬しなきゃいけないんだ?」
冬也は狐につままれたような顔でポカンと私を見つめた。


「だ、だよね・・・そんなコトあり得ないよね」

「ありえない」
冬也が声に力を込めて断言した。


「自意識過剰も甚だしいぞ」




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