抜き差しならない社長の事情 【完】

桜が咲き始めた夜に


「奥さんになる方って、どんな感じの女性なんですか?」


「うーん、そうだなぁ……

一言で言うと、不器用な奴」



「またそういう失礼なことを」



相原のスマートフォンを強引に奪い取った紫月は、

画面の中で微笑んでいる女性を

指先で引き延ばした。



写真を見る限りでは不器用かどうかはわからないが――


「すごい美人じゃないですか!」



当然のように

「まあな」と済まして答える相原は、


「スタイルもいいだろう」


と満足げにニヤリと笑う。


< 163 / 169 >

この作品をシェア

pagetop