抜き差しならない社長の事情 【完】
桜が咲き始めた夜に
「奥さんになる方って、どんな感じの女性なんですか?」
「うーん、そうだなぁ……
一言で言うと、不器用な奴」
「またそういう失礼なことを」
相原のスマートフォンを強引に奪い取った紫月は、
画面の中で微笑んでいる女性を
指先で引き延ばした。
写真を見る限りでは不器用かどうかはわからないが――
「すごい美人じゃないですか!」
当然のように
「まあな」と済まして答える相原は、
「スタイルもいいだろう」
と満足げにニヤリと笑う。