抜き差しならない社長の事情 【完】


チラリと蒼太を見た紫月は、


あきらめたように


 はぁ…… と溜め息をついた。




 好きかって聞いてくれれば

   頷くだけで済むのに



キライか?って聞くなんて

 ずるい







――キライなわけ ないじゃない……







紫月は蒼太の手に囚われていない左手を、

自分の目の前に翳した……。



 薬指に重なる、2つのリング。




ブランドは2つとも同じ。


1つは7年間、クローゼットに眠っていたもの……。



もう1つは今日蒼太がくれたホワイトデーのプレゼントに入っていたもので、

ハートの形に、7つのダイヤモンドが並んでいる……。




キラキラと輝く2つの指輪を愛おしそうにしばらく見つめた紫月は、



 指輪にチュッとキスをして





「好きだよ 蒼太


 今も昔も


   ずっと大好き……」



そう言って、にっこりと微笑んだ。





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