君を愛さずには いられない
λ.甘くて辛口
セーヌ河に架かる橋の上を歩いた。

下を見ると流れは緩やかだった。

ルーブルやベルサイユ

エッフェル塔や凱旋門を目にしただけで

気持ちが浮き立つ理由がわからないまま

自分はこんなにロマンチックだったか

こんなにセンチメンタルだったか

と首を傾げた。

河村は空港から直に祖母の家へすっ飛んで行き

俺は今日から来年の今日まで住むことになるマンションへ荷物を置いて

一人でブラブラする時間を持てた。

午後カフェで適当に腹を満たし

ワインを2本買って部屋に戻った。

取り合えずシャワーを済ませ

荷ほどきを適度にやってから

ワインのコルクを抜いた。

ボトルから直接喉に流し込んだ。

「意外にうまいな。」

上品にグラスで飲むより

らっぱ飲みした方が喉で味わえた。

河村は今夜帰らないかもしれないと思い

かなりの量を口にし

飲んだくれてソファーに伸びた。

何時間経ったか

ハッと目が覚めた。

腕時計を見ると夜中だ。

そばに小さなスタンドが

ぼんやりと灯っていた。

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