Four you ~2+2=4=2×2~
第2章~ハートの印~

第5話~動き出した~

映奈と若奈という私の親友に、今、私ができること。それは二人の名誉を取り戻すために、昨日言いふらしたことの訂正をすることだった。

「…えっ? じゃあ、昨日映奈に送られたメールはただの迷惑メールだったってこと?」
「せやねん。ホンマ、ウチの勘違いで申し訳ないことしてもうたわ…。ホンマはストーカーなんておらんのに…」

そして心に引っかかったものが取れると、実に色々なことが見えてくるものだ…。

「…つまり、作者はここの主張を…」
「…先生…」

授業をしている先生の言葉を遮って、誰かが手を上げた。見ると、それは聖都だった。

「ん? どうした?」
「…すみません…気分が悪いので…保健室に行ってもいいですか…?」

普通、そういう場合は口調からも察することができるのだろうが、聖都は普段からこんな口調のため、顔色をうかがって判断するしかなかった。でも、それは聖都のことをよく知っている私達に限ってのことだった。

「そうか…いいぞ。ゆっくり休んでるといい」

先生にそう言われ、聖都は教室を後にした。

「…詩音」
「ん?」
「…あれ…演技かな?」
「…あ~、そうかもしれへん…」
「この先生の授業、眠いしね…」
「そこ、何か言ったか?」

さっきまで聖都に注がれていた先生の視線が、私達に注がれた。体が強張ったが、若奈が「何も」と言ってくれたおかげで難を逃れた。

その休み時間。

「なあ」

私が手塚姉妹と喋っていると、直都が声を掛けた。
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