熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~


「だから、もしよかったら、まずは友達からなぎさと付き合ってみたいんだ」


「…!?」

そっか…そーいうことか……。

慎重なんだ…。

簡単に恋人にはならないんだ……。


でも―――


「いいよ…友達でいいから…今は友達で十分だから…それだけですごく嬉しいから……」


それがあたしの本心だったわけではない。

でも、今までは遠くから見ているだけでメールや電話しかできなかった。

だから、たとえ“友達”としてでも、ときどき会って、ただ何げないお話しができるだけで…、ただ、涼しげな眼差しと、たとえほんの一瞬でも見つめ合うことができるだけで…、あたしはそれでもよかったんだ。

満足していたんだ。

幸せだったんだ。

ただそれだけで「あたし、今、生きてるんだ」って、スゴク大袈裟なようだけど、生きていることを実感できたんだ―――――
< 108 / 200 >

この作品をシェア

pagetop