俺様社長と結婚なんてお断りです!~約束までの溺愛攻防戦~
プロローグ
話は15年前まで遡る。


古いアルバムにおさめられた、少し色褪せたたくさんの写真達。

レースたっぷりの純白のドレスに身を包んで幸せそうに微笑む花嫁。

日本庭園を背景にした親族集合写真。

昔ながらの高く高く積み上げられたウェディングケーキ。


「うわ〜〜。おばさん、すっごく綺麗! やっぱり美人は昔から美人なんだー」

11歳、少女と言うよりまだまだ子供の羽衣子は目の前のおばさんと呼ぶには美しすぎるその女性と写真の花嫁とを見比べて、妙なところに感心していた。

「うふふ。ありがと、ういちゃん。
ういちゃんもきっと素敵な花嫁さんになると思うわよ〜」

「えー!? そうかなぁ。 なれるかなぁ・・」

羽衣子はウェディングドレスを着てバージンロードを歩く自分の姿を少しだけ想像してみた。
想像の中の自分はおばさん程の美女ではないけれど、それなりに可愛くてドレスも似合っていた。

「アホ。 ウェディングドレス着たって、羽衣子の地味な顔はそのまんまだろ」

羽衣子の楽しい妄想を遮るように、冷たい声が飛んでくる。

「こらっ、洸。 ういちゃんになんてこと言うの」

「事実じゃんか」

おばさんに怒られても謝る素振りもなく、べーっと舌を出しているのはおばさんの一人息子の洸だった。

羽衣子より3つ年上の洸は、母親似で男にしておくのが勿体無いくらいの美人だ。
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