イジワル御曹司と花嫁契約
必然を飲み込むと終わりが見えた
私と彰貴との生活は、意外なほどに上手くいっていた。


大きすぎるふかふかのベッドで寝られるのだろうかと思っていたけれど、あっさり眠れた。


むしろ気持ちが良すぎて寝すぎてしまうくらいだった。


食べ放題に読み放題、人が住むようなところじゃない! と思っていたランドタワーレジデンスは、慣れれば慣れるほど快適だった。


彰貴と一緒の時間は、いつも楽しくて幸せで、こんな生活を送っていると、時々ふっと怖くなった。


贅沢に慣れる自分、彰貴をどんどん好きになる自分、まるで以前の自分が消えてなくなってしまうような、そんな怖さを感じていた。


でも、全く違う価値観と生活環境の中で、互いに歩み寄って、理解しあって、慈しみあって生活することは間違ってはいないはずだと自分に言い聞かせた。


きっと上手くやっていける、ずっと一緒にいたい、そんな気持ちを抱いたまま、あっという間に一か月が経った。
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