未来絵図 ー二人で歩むこれからー 
本音ー智也sideー
 
 松本智也(26歳)。社長のお気に入りと言われるが、"ただの父親の友達"の智也にとっては、知り合いのおじさんってだけ。

 大学を休学し2年留学した。世界を見てみたいという、格好いい理由なんかじゃない、ただ、行きたかっただけ。

 その後、戻ってきた智也は、ホテルA'Zの社長からイギリスから来日するお客さまの通訳を頼まれ、気に入られ、在学中から、度々、力をかした。

 卒業と同時に"力を貸して欲しい"と頼まれたのが入社の理由。

 入社する1ヶ月前に、力を入れている雑貨&フラワーショップのチーフとサブが来年独立することが決まり、ウェディングの業務拡大が決まっていたからちょっと騒ぎになった。その時、チーフとサブの他に従業員が1名いたが、技術職採用でなく、二人のサポート役であったため、ウェディングに欠かせない装飾やブーケを作ることは出来なかった。

 智也は、頭をかかえる社長を気にしていたが、すぐに朗報が飛び込む。

 一般職採用者の中に、特殊な経歴を持つ、高木奈々子がいたからだ。

 農業高校卒業、国立大学経営学部卒業。花市場・雑貨店・ウェディング会場でアルバイト経験あり、資格も多種多様に持っている彼女だった。

 "すごい子がいるんだよ~。それに可愛い子でさ。"と社長は、智也の実家にくるたび、父親との酒の肴にしていた。

 だから、智也はどんな子なんだろうと、話を聞くたびに思っていた。

 入社して、初めてあったとき、一瞬で可愛いと思った。

 みんなが名前で呼び会うのを聞いて、他の二人はさん付けなのに、奈々子だけは呼び捨てで呼んでしまった。

 奈々子は嫌がる様子はなかったが、二人みたいに"松っつん"と、呼ぶことはなかった。
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