未来絵図 ー二人で歩むこれからー 

 当時は腰まで髪が長かった奈々子が、黒髪から今のココアブラウンに染めてきたときは、大人びて見えて、"にあってるよ"と言うのが、精一杯だった。

 ある時やよいさんから、"松っつんって、奈々子ちゃんのこと、好きなのね?"と直球で言われて、驚いたが、"ん。でも、言うつもりはないよ。今は。"あっさり認めたことに、驚いていた。

 奈々子には、高校から付き合っている彼氏がいることを知っていた。でも、諦める気にはなれなかった。

 同期4人ではよく、飲みに行った。奈々子の行きつけのーダイニングバーほのぼのーに週1のペースで行くときもあった。でも、奈々子が自分から彼氏の話をすることはない。別れたという話もきかなかった。

 奈々子に休日の予定がないと言うときは、二人で買い物に行くこともあった。"彼氏は!?"と聞くと、常に出張で、もう何週間もあってないと言ってたのを思い出す。

「もう長年付き合うと空気みたいになるんですかね?触れ合わない熟年夫婦って感じです。」

「えっ?ずっとない感じ?」

 ちょっとセクハラ発言かなぁと思いながら窺うと、

「松本さん草食系っだってみんな言ってましたよ?そーゆーこと聞くんだ!びっくりしました!」

「草食系に見えるか?」

「みんなはそう見てるみたい。……ぶっちゃけ、入社する前からチューすらないです。」

「彼氏が草食系なんじゃ?」

「あははっ。それはないです。でも、目まぐるしくて、それは彼氏も一緒だし、正直からだがついていきません。」

 なんて下ネタでも、笑ってはなしつくれた。

 夏になりなる頃には、奈々子の話し方もフランクになっていた。
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