ぼっちな彼女と色魔な幽霊

「あのさ、下の名前で呼んでいい?前から、そう呼びたかったんだ」

少し照れくさそうな顔で頬をかく二嶋くん。気になってるってどういうことだろ。

「うん。好きってことだよ」






急にそこで二嶋くんの声が変わった。

「ひな子」

目を開けると目の前にヨウがいた。

「ぎゃあああっ!」

というか、なぜか同じベッドの中に、ヨウがいた。

さっきの二嶋くんの告白は夢か……。

なんて夢を見てるんだ、わたし。二嶋くんになんだか申し訳なくなる。

「なんだよ。幽霊でも見たような声出しやがって。目覚まし鳴ってるぞ」と、枕元の目覚まし時計をオフにした。

昨日の夜、ふと姿を消したものだから今度こそ成仏しただろうと、自分のベッドでひとりで眠っていたはずだったのに。

「今まさに幽霊見てるから!ていうか、なんで成仏してないの?」

「うるせーな。顔を見れば、成仏成仏って」

寝返りを打って投げ出したヨウの手が、パジャマがめくれ、むき出しになっていた背中の部分に触れた。

「……だから冷たいんだってば!」
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