三十路はとうに過ぎてはいたものの、結婚への焦りなど感じていなかった犬居織江。
 織江の毎日は気の許せる友人や大好きな家族、そしてやり甲斐のある仕事に(一応)と前置きが必要だけれども、彼氏と呼べる存在に囲まれ充実した日々を送っていたからだ。
 だが、初対面の男から放たれた失礼極まりない言葉で、彼女は安直に起こした行動を後悔することになる。

 言葉で謝罪しろ?冗談じゃないわ――。


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