【完】素直じゃないね。

「あんまりこいつに近づかないでもらえますか」







翌日の放課後。

茶道部の乃亜が部活に行ってしまい、帰宅部のあたしは、他のクラスメイトの女子と談笑していた。


明日も会えるというのに、家に帰るのがもったいなくて、今日話しきれていないことを探すように、話に花を咲かせる。

すると。


「日吉ちゃーん」


廊下の方から、あたしの名を呼ぶ宙くんの声が聞こえてきた。


「はーい?」


返事をしつつそちらに顔を向ければ、ドアから顔だけ覗かせるようにして、宙くんがおいでおいでと手を振っている。


「呼ばれてる! 日吉ちゃん!」


「え? あたし?」


自分を指差して、思わずぽかんとすると、宙くんがうんうんと頷いた。

< 151 / 409 >

この作品をシェア

pagetop