竜宮城に帰りたい。




「今日ねー、私とおねえちゃん浴衣着るんだー」


会場へ向かう道中、ゆかりが晴に向かってそう言った。


ゆ、ゆかりー!

余計なこと言わないでよー…



「ほう、そうなん。」

「晴おにいちゃん着ないの?」

「着るで。」

「へぇー!おそろいだね~。」

「せやのぉ。」



晴って子供と接するときなんか優しい。


なんか違う人みたい。



「…澪?」

「っえ!?」


声に反応して隣を見上げると、

祐くんが心配そうな顔をしていた。


「へーきか?体調悪いん?」

「え、ううん。大丈夫だよ…」

「青い顔ばしとんで。」


青い顔…
してたんだ。


「平気!お祭り楽しみだよ!」

「それとも…」

「え?」

「いや、なんでも…」



祐くんは私から顔をそらすと、
「あついのぉ」
と、話題をそらした。




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