願いが叶ったその時…



俺は二回女に裏切られ
二回、自分のことを裏切った。
また裏切られるかもしれない恐怖に
俺は毎晩のようにうなされた。



「こんなのが若の側近なんて、駄目ですよね」


百「…バカなんですか?」


「…は?」



いきなり告げられたバカ発言に
俺は驚きを隠せなかった。



百「誰にだって過去ぐらいあります。
  それがどんなものかなんて言われなければ
  わかりませんよ。
  それに、夏風が貴方を傍においているのは
  貴方が信用できるからです。
  もっと自信もってもいいと思いますよ?」



自然と延びてきた彼女の手を
俺は拒否しなかった。
それが自分でも驚きで何もできなかった。



百「光琉さん…私に出会ってくれて
  ありがとうございます(ニコ」


「え?」


百「今ここに貴方がいるから私は1人じゃない
  今の貴方は幸せなのでしょう?
  沢山の仲間にあって幸せなのでしょう?
  なら、それを思い切り楽しまなくて
  どうするんですか(ニコ」



彼女の手がそえてある頬が暖かくて
俺の目から涙が流れた。
今まで我慢してきた分まで、
あふれてきた。



百「貴方が怖いと思うなら私が貴方の傍にいます
  だから貴方も、私の傍に、夏風の傍に
  いてあげてください」



俺はふと、閉ざしていた記憶の中にある
母を思い出していた。
怪我をして帰ってきたときとの母の温もりを
思い出していた



「ありがとう…ございます」



守っていこう…この温もりを…
若が選んだ光を…



         side光琉 end




   
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