眼鏡とハンバーグと指環と制服と
第二十五章自分でも身勝手過ぎると思うことを考えていた
認定試験の結果が出るまで、ちょっとのんびりしてた。

午前中は家……っていうのも変かな?
でも、もう住んでるマンションはすっかり私の「家」だ。
いつの間にか私の帰るところは、夏生と暮らしてた家からこのマンションに変
わってた。
あの家に帰りたくないかっていわれれば嘘になる。
でも、もうここで暮らしていくしかないんだから。

……とにかく。

午前中は家で勉強。
午後になると岬さんに、おじいさまのお見舞いに連れて行ってもらう。

柏木さんは相変わらず忙しいみたいで、朝と夜しか顔を合わせない。
といっても、無理してでも定時で帰ってきてるみたいだけど。

なんでだろうね?

そして夕食後は私の勉強を見てくれる。

それが嬉しい……けど。

柏木さんに対してそんな感情を抱くたびに、私の心の中は罪悪感でいっぱいだ
った。


「こんにちは。
おじいさま」

「おお、来たか」
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