別れたいのに愛おしい~冷徹御曹司の揺るぎない独占愛~
「奏人……ありがとう。私を奥さんに選んでくれて」

プロポーズ後の感動に浸る私を、奏人はそっと抱きしめてくれる。

誠実で優しい、私の大好きな大きな手。

奏人は私をベッドに連れて行くと、そっと優しく横たえた。

どちらともなくキスを交わす。触れるだけのキスなのに、身体が震えて熱くなる。

「奏人……大好き」
「理沙、俺も……愛してる」

それからは夢の中。
何度も奏人と愛を交わす。






「理沙に、一つだけ謝らないといけない事があるんだ」

今までにない位、長く濃厚な時を過ごした為、すっかり惚けてしまっている私に、ベッドから身体を起こした奏人が、少し掠れた声で言った。

「謝りたいこと?」

私は奏人に甘える様に、身体を寄せる。

プロポーズされてから、奏人を好きって気持ちがますます膨らんでいくみたい。

「俺、理沙に嘘をついてた」

「嘘?」

凄く意外な気がして、私はぼんやりと奏人を見つめた。

だって奏人と嘘って結び付かない。

付き合ってから奏人に嘘を吐かれた事なんて、一度もない。

奏人はいつだって誠実で、だからこそ私はどんな時も安心していられたのだ。

……うん。やっぱり奏人が酷い嘘を吐く訳ない。

私からしたら、嘘にカウントしない程度の事を言ってるんじゃないかな?

例えば、私が身長159センチしかないのに、160センチって自称しているような。

そんなしょうもない誤魔化しの事を言ってるんだと思う。
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