プルシアンブルー“俺が守る”
薬も過ぎれば毒となる
「おはよう、姉ちゃん。」



まだ眠っている爽築へと小声で告げた挨拶。


この日の譲琉の朝はいつになく早かった。



「ねぇ、姉ちゃん。男ってなにかな?女ってなにかな?俺には分からないんだ。理解したくもないけれど。俺は姉ちゃん以外に要らないし、俺は自分自身‐ユズル‐だからさ。男と女だけじゃないのに、線引きするなんておかしいよね。」



人を好きになるってどういうことですか?


付き合いたい?キスしたい?


それ以上?結婚したい?



確かにそれらもしたいけれど、法律は感情では作られてはいない。



「ジェンダー論争なんて言われているみたいだけど、クダラナイよね。」



人間が作ったのに人間の為のものではないの?


俺は人間ではないの?



「人間じゃないなら俺は何なんだろうね。」



ねえ、教えて下さい。



「あの時からずっと考えているんだけれど、分からないんだ。」



どうしたら愛する人を好きと、法律は認めてくれますか?



愛の形は、みんな同じでなければならないのですか?



「でもね、これだけは変わらないよ。」



どんな手を使っても。



「姉ちゃんは俺が守る。」
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