恋はたい焼き戦争



「入ってきてくれ」





皆の視線がドアに集まる。

入ってきたのはブロンドの髪で背が高めの男の子。


白めの肌と合って王子様みたい。


毛先を遊ばせている感じがまたお洒落だ。





「…!あの人…あの人!!」





先生が黒板に名前を書いている間あかりが私の方を向いて大きく目を見開き、わなわなしてる。





「はい、彼の名前は紺野 昴(こんの すばる)君だ。
みんな仲良くしてやってほしい」





すると紺野君は先生に肩をポンと叩かれ





「初めまして、よろしくお願いします☆」





王子様スマイルをかました。

あ、チャラい感じの人なんだなぁ…


苦手かもなと思っていると、前の方の席で机をバンと叩き勢い良く立ち上がる子がいた。





「あ、あの!紺野っていったら、その…
大手広告代理店 コンノ・コーポレーションの…!」





すると紺野君は一度うつむいてから顔をあげて





「え、はは…バレちゃいました?」





頭をかきながら、

あまり言わないでほしいなっ

と軽そうにウインクをする。



この予想外の展開にクラス中は大混乱。


女子の目はキラキラギラギラと光っていて、男子はいけ好かない、嫌なやつと心情が駄々漏れの睨みをきかしていた。





「ほらほら、静かにしろー!
席はな、後ろの空いてるところだ」





そんな状況を見かねた先生は私の隣の席を指差して紺野君に座るよう指示する。


そうですよねー…


女子は紺野君が席と席の間を歩いている姿に釘付けだ。





「よろしくね☆」





ひらひらと手を振って挨拶してくれる。





「あ…うん、よろしくー…」





ヤバイ、ちゃんと笑顔作れてたか…?

前を向くと、あかりと目が合って口をパクパクさせている。


いいなーとなりのせきー


そうかな、とこちらも口パクで返して混乱が怒涛のように押し寄せた朝の会は終わった。

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