夢幻の騎士と片翼の王女
再会(side リュシアン )




「リュシアン様…おひさしぶりです。」

「あぁ……」



俺は窓の景色を見ながら、適当に返事をした。
ゼリアから、特別な女が手に入ったから、ぜひその女を私に献上したいとの申し出があり、俺はその申し出を素直に受け入れた。
女なんか、どれも同じだ。
特別な女などいるはずがない。
期待なんか欠片程もなかった。
だが、俺はゼリアに新たな領土を与えた。
奴が十分満足するほどに。
どうせ、奴の目的はそれなのだ。
そんなことは最初からわかっている。
「特別な女」なる者は、貧しく美しい女に端金を掴ませたか、借金のかたに連れて来たか…狡猾なゼリアのことだ…大方、そんなところだろう。



ゆっくりと振り返る…
俺の視界に、その「特別な女」が映った時…



俺は今までに体験したことのない不思議な感覚を覚えた。
心がじんじんと高い熱を帯び…俺の感情のすべてが激しく揺さぶられるような…
押し寄せる感情の波に、俺は泣き出してしまいそうになり、思わず、女に背を向けた。



(どうした?何があったんだ?
なぜ俺はこれほど動揺している…!?)



自分のことなのに、理解できなかった。
女は、一目で異国の者とわかった。
特別というのはそのことだったのだ。
見た目は悪くはないが、飛び抜けて良いと言うほどのものではない。
なのに、俺はどうしてこんなに…

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