イケメン御曹司のとろける愛情
第二章 摩天楼Cinderella
「奏美ちゃん、そろそろ上がってくれていいわよ」

 ペットボトルの棚の裏で商品の補充をしていたら、雪絵さんに声をかけられた。

「真緒(まお)ちゃんが就職試験でお休みなんですよね? もう少しお手伝いしますよ」

 私は棚に手を入れたまま雪絵さんを見た。

「でも、もう七時近いわよ。ライブ、八時からなんでしょ? そろそろ行かなくていいの?」

 雪絵さんの言葉を聞いて、私は腕時計を見た。

 わっ、本当だ。いつの間にか六時五十分になっている。

 気づいたとたん、全身に緊張が走った。

 いつかはジャズピアノ一本で食べていきたい。それが、私が現在猛追中の夢。イベントやバーでライブをすることもあれば、依頼を受けて結婚披露宴で生演奏をすることもある。そういう仕事は今のところ、不定期にしか入ってこないため、ジャズピアノだけでは食べていけなくて、こうしてコンビニでアルバイトもしている。
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