イケメンなんか大嫌い
未来を築く

不安を払拭出来ないと連絡出来ない。
そう巡らせているうちに金曜日になってしまった。
仕事も駅前開発の件で慌ただしく、息つく暇もない程だった。

残業を終え地元の駅を出ると、商店街のケーキ屋が店頭でクリスマスケーキを売っている。
2日後には本番を迎えるのだから、そろそろ本格的な雰囲気になって来たな。
そんな他人事のような感想を浮かべ、横目に通り過ぎた。


テレビを点けてもクリスマスムードの番組ばかりで、食後のコーヒーを啜りながら溜息が零れた。
煌くクリスマスツリーとイルミネーションを目に映していると、ふたりで見たツリーを思い出す。

一緒に写真を撮って、笑い合った。
あの日は、本当に夢みたいに楽しくて……どうして、自分から壊してしまったのか。

「……また……あんな風に過ごしたい……」

掠れるような声が漏れ出ると共に、瞳に浮かんだ涙を感じた。

謝らなきゃ、俊弥に。
まだ間に合うかな。許して貰えるかな……。

バサッ

涙で歪んだ視界の隅の方から届いた音に肩が跳ね、目を向けると本棚の隙間に無造作に差し込んでいたフォトアルバムが床に落ち、開いていた。
先日実家から持ち帰ったその帳面を拾い上げ、写真に目線を落とすと違和感を受けた。

「……」

……クリスマス会だったよね、この写真……。
これ……俊弥に向けてクラッカー弾けさせてる感じ…

姿勢を保ったまま動きが止まり、思い至った。

…………今日……12月22日……。

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