俺様社長の溺愛宣言

零士side

どうして俺が、こんな行動に出たのか。

それは、さかのぼること2年前。

営業部の部長に用事で、営業部のオフィスに行ったときの事だった。

「…またお前か?!鈴木!」

営業部では、毎日のように部長の激が飛んでいる。

俺は、入口で、その光景をしばし見ていることにした。

部下に何度となく罵倒を浴びせる部長。

部下は当然萎縮して、ただひたすら頭を下げている。

周りの社員たちも、部長が怖いのか?見て見ぬフリ。

自分が入っていけば、ことは収まるか?

理不尽な物言いが終わるだろうと中に入ろうとしたその時だった。

俺の横を颯爽と通りすぎる女子社員が1人。

あの制服は、庶務課だな。

「…部長」
「…なんだ、渡辺?お前は庶務課のやつだろ?俺に何のようだ?」

「…誰も言わないようなので、私が言います。頭ごなしに部下を怒るのはお門違いです‼そんなんでは、部下は誰1人ついていきませんよ。見てください。周りの社員の引いてる目を」

その女の言葉に、ようやく周囲を見渡した部長は、口ごもる。

「…怒るばかりが能じゃない。上司なら、優しく諭すことも大事だと思います!」

それだけ言うと、何事もなかったように、踵を返してまた俺の横を颯爽と通りすぎ出ていった。

…あの恐れられる営業部の部長に、ああも意見できる女は初めて見た。

俺は、直ぐに部長の前まで歩いていく。

「…しゃ、社長。どうされましたか?」
「…さっきの女子社員の言う通りだな。もっと言葉を選べ坂上部長」


俺の言葉に反省の態度を見せた部長。そんな部長に。

「…で、さっきの女子社員の部署と名前は?」
「…え?あ、庶務課の渡辺満里奈ですが」


と、どさくさ紛れに満里奈の名前を聞き出した。
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