俺様社長の溺愛宣言
「…あの、お話だけなら、もう少し離れませんか?」
「嫌だ」

…駄々っ子か?!

と、突っ込みたい衝動に駈られたが、流石に社長にそんなことも出来ず、でも、眉間にシワを寄せることで、少しばかりの抵抗をする。

「…お話と言いますと?」

なんとか気を取り直して違う質問をする。

「…満里奈が好きで好きで仕方がないんだが、どうすればいい?」
「…は?」

突然の熱烈な告白に驚きすぎて、ポカンとする満里奈。

それもそのはず。

二人には今まで、ただの一度も接点がない。

凄い人からの告白。しかも、零士はとてもイケメンだ。普通の女なら、嬉しくないはずはない。

だが、満里奈はこれっぽっちも嬉しくない。

「…社長、それは何かの勘違いでは?第一、私と社長に接点はございません。ですので、何を血迷られたのかわかりませんが、人違いだと思います。という事で、私はこれで失礼します」

早口にそう言って、満里奈は立ち上がり、部屋を出ていこうとした。

「…そのハキハキした物言いが好きなんだ」
「…え、ひゃっ!!」

ボスン!

逃げる間もなく手を引っ張られ、満里奈は零士の腕の中へ

「…は!離してください‼職権乱用もいいところです!」
「…こうでもしないと、満里奈は手に入らないから」

「…社ちょ?!」

…やられた。

大事な大事なファーストキス。

小、中、高と、私立の女子高。大学までも、女子大。

25年間、男とは無縁の生活を送ってきた満里奈。会社も、庶務課には、男は課長と、癒し系の男性社員が1人、の計二人しかいないので、なんとかやって来たと言う。

全く男に免疫のない満里奈のファーストキス。貴重以外の何物でもない。のに。意図も簡単に奪われるとは。
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