俺様社長の溺愛宣言
2.俺様社長は苦手
その夜、満里奈は恵のアパートに泊まると、次の日、そこから会社に向かった。

何度も会社に行きたくないと駄々をこねる満里奈を、恵は無理やり引っ張って。

会社に着くとまず、異動などの張り紙がされる掲示板を見た満里奈は、何も貼られていない事を確認して、溜め息をついた。

そして次は、重い足取りで、庶務課のオフィスに向かう…と。

いつもは一番に出社する満里奈より、奏の方が先に出社していた。

気まずいと思いながら、挨拶だけは忘れない。

「…おはようございます」
「…あぁ、おはよう。渡辺さん、もう大丈夫?」

「…え?」

奏の問いに、きょとんとする満里奈に、奏は、目を指差し、泣いてた事を思い出す。

「…大丈夫です」
「…そう、それなら良かった」

それ以上何を言うでもなく、奏は仕事を始めた。

満里奈も、それ以上聞かれないことにホッとして、自分のデスクに鞄を置くと、給湯室に向かい、お茶の準備をする。

この時間だと、課長もそろそろ来るだろう。そんなことを思いながら、準備をしていると、案の定、給湯室の横を課長が通りすぎる。

「おはよう、渡辺さん」
「…おはようございます。課長」

お茶を淹れるとオフィスに入り、課長、奏の順にお茶をおいた。

バタン。

突然オフィスのドアが開く。

「…おはようございます!遅刻じゃないですよね?!」

そう言いながら飛び込んできたのは満里奈の後輩亜香里。

いつもギリギリに出社する亜香里を、3人は笑いながら、挨拶する。
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