断罪アリス
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それから半年後──。




『全会一致で特別国家治安維持部隊≪翔鷹≫の結成を決定致します』




スマホからそんな音が聞こえる。




私はそれを止めると、目を閉じて冷たい野原に寝転がった。




「藤邦アリス、風邪引くぞ」




ふと、目の前にマグカップが差し出された。




目を開けた先には肩に上着をかけたなっちゃんがいた。





体を起こしてマグカップを受け取ると、温かいそれを一口飲んだ。





「このミルクティー、彼が作ってくれたミルクティーに似てる……」




「天河の入れ方を覚えたからな」




なっちゃんは私の隣に座ると、自分もノンカフェインの紅茶で入れたミルクティーを飲んだ。




「なっちゃん、風邪引くよ?お腹に赤ちゃんいるのに……」




「風邪を引かないようにコートとミルクティーを持ってるんだ」




なっちゃんはふんっと鼻を鳴らして、私を見た。





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