冷徹部長の愛情表現は甘すぎなんです!
「人事に伝えておくよ。今日面接に来た女、雇ってほしいって」

「え……?」

由佐さんは、言い返したわたしになにを思ったのだろう。さっきは帰ってくれって言って、わたしもそのつもりだったのに、このまま面接を受けるの?

ドアを開けた瞬間、ちらりとこちらを見た彼の魅惑的な仕草にドキッとしてしまった。酷いことを言われて悔しくて悲しかったはずなのに、胸が高鳴っている自分が信じられない。
幻滅したのに……もう、彼のことは好きじゃないのに。

惑わすような彼の表情がどうしてもあの夜と重なって、頬が熱くなっているのを感じていた。
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