泥酔ドクター拾いました。
交わる気持ち
『あのさ、やりたいこともなくて、地元に逃げ帰るなんてことするなよ』

隣に座る大和田先生の横顔を眺めながら、つい１時間ほど前に言われた言葉を思い出して、ほろ苦い気持ちになる。

逃げ帰るわけじゃない。

そう言い返したけれど、客観的に自分のことを考えれば逃げ帰ることに間違いない。
今の病院でも十分看護師は出来る。ううん、むしろ今の仕事内容にやりがいだって感じているし、嫌なことだってもちろんあるけれど、職場環境には大きな不満もない。

だけど、今のまま働くとなるとほとんど毎日大和田先生と顔をあわせないといけなくなる。
マンションだって、半年前に引っ越したばかりで更新の時期にはまだまだ時間はありすぎるくらいにあるし、引っ越し費用だってすぐには用意できそうにない。

大和田先生に、引っ越ししてほしいなんて都合がいいことお願いするわけにはいかないし。むしろそんなことしてしまったら、もっと私と大和田先生の関係は気まずくなるに決まってる。
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