その笑顔が見たい
第七章


葉月を守ると佐川さんとの約束を果たすためにも、これ以上、紗江のことはあいまいにできない。かと言って何もアクションを起こしてこない紗江にどう対応するか悩んでいた。
取引先の社員ということもあって、一応、柳さんにも報告はしている。

午前中の外回りから帰って来て一息をつく。
今日、葉月は食堂には来ないと言っていた。
どうやら新しい人が決まってその人が入っているので、葉月は人手が足りない時以外は来なくなると話していた。

昼休みになり、決まったように桜木が迎えにくる。

「翔ちん、お昼いこ」

最初は子供じゃないんだから一人で行けよ、と思っていたこの誘いも慣れてくる。
稀に桜木が外出で昼休みにいないと寂しいと感じ始めていた。
慣れとは怖いものだ。
もれなく宮崎たちも後ろを歩いてついてくるが、もうそれも慣れていた。

食堂につき、おきまりの「おまけ」をもらい、席に座る。
安定のルーティンワーク。
おかずに箸をつけた時、桜木と宮崎たちが遅れて席に座る。



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