クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
近付く距離
 それから半月後、私とリュシオンは正式な婚約者となった。

 婚約のお披露目は二ヶ月後の私の誕生日の祝いの席で行い、その半年後に結婚式を挙げる予定。

 ただしアンテス城内では既に私達の婚約を知っている者もいて、私付きの侍女ホリーや、リュシオンの同僚の騎士達は、私達を婚約者同士として扱った。

 ホリーはリュシオンが訪ねてくると下に置かない歓迎ぶりで、最上のもてなしをする。
 リュシオンに近付く令嬢がいるのを見ると、まるで自分の恋人を奪われたかのように過激に反応する。

 騎士達もそうだ。私が訓練場に行くと、当たり前のようにリュシオンを連れて来るし、リュシオンの模擬試合が始まれば、見学席を用意してくれる。

 そんな扱いが私は嫌ではなかった。むしろ嬉しい。

 今日もホリーを伴い訓練場を訪れた私は、部下の騎士達と訓練をするリュシオンを直ぐに見つけた。

 同じような服を来た大勢の騎士達の中にいても、リュシオンを直ぐ見つける事が出来る。

 その華やかな容姿のせいだけでなく、リュシオンの動きは周囲の騎士達と全然違うから。

 今もリュシオンは一人で自分より大柄な三人を相手にしているのに、全く苦労する事なく、次々と相手の剣を弾き降伏させていく。

 リュシオンが強いのは知っていたけれど、間近で見て初めてその凄さを実感した。

 剣を振るう時のリュシオンは、普段と違って鋭い目をしている。油断無く周囲を見渡すその視線に冷ややかさを感じ、私は戸惑ってしまう。
 正直言えば、いつもと違った一面を見て、それはそれで素敵だと感じときめいてしまっている。

 優しいリュシオンも強くて隙がないリュシオンもどちらもいい。自分の婚約者に私は見惚れ夢心地になってしまう。

 私はもっと近くでリュシオンの訓練を見たくて、訓練場の仕切りの門を通り中へ進むと、一番リュシオンが良く見る位置で立ち止まり、飽きずに見学をしようとした。



 けれど直ぐに私の存在に気付いた様子のリュシオンが、訓練を止めて駆け寄って来た。
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